瀬川貴次『ばけもの好む中将 伍 冬の牡丹燈籠』(集英社文庫)520円+税
シリーズ第5弾は、鬱屈した思いを抱えて出歩かなくなってしまった中将が、紆余曲折を経て、またばけものを探し歩く意欲を取り戻すまでの、5篇の連作短編集。表紙にいる、屏風に火鉢(豪華な装飾があるので別の呼び名があるのかもしれない、知識が無いので分からない)の雅な女性は、おそらく十二の姉である真白の君なのだろう。真白と春若のエピソードを盛り上げるべく、中将が口封じまで行うのだから、物事はややこしい方へと進んで面白い。『北斗の拳』の他にも、じっくり読んだら仕込まれた文章が見つかりそう。

M浦くんはヨーロッパ旅行に興味があるようで、昨日はZのプラハ体験談に聞き入っていた。ドイツやフランスに比べると、チェコはまだまだ安全なのでは。

「今はおもしろいものがいくらでもあるし、おもしろに関する情報もどんどん流れてくるから

「色々なジャンルの一番ウケてるものの上澄み」

をつまみ食いするだけで無限に時間を潰せるんですよね。だから昔と違って特定の趣味、特定のジャンルにだけ忠誠を誓うようなライフスタイルにはなりにくい。」