円居挽『誰が死んでも同じこと』(光文社)1600円+税
初出は「ジャーロ」49号・50号・51号・53号に掲載された連作短編集。河帝グループ会長の直系が次々と殺されていく、短期間での連続殺人事件を、グループ社員のヒロインと変わり者の刑事が日本を股にかけて追いかけるミステリー。終盤の謎解きが盛り上がる反面、序盤は勢いがちょっと弱かった。読後、引っかかったのが本の題名で、登場キャラは全て「誰が死んでも同じこと」とは言いそうにない……ということは、メタ発言にとらえればいいのかな? 読者の側から見れば「誰が死んでも同じこと」。これなら、まあ、納得できる。犯人の追い詰め方と助け方は、ゼアハット・アンソニーの『ONE EYED JACK(片目のジャック) 』で読んだ、ある話が思い浮かんだ。宇宙から来た凶暴な生命体(その正体は、パワードスーツをまとった小さな爬虫類だったかな?)が、さんざん暴れまわってから、生身で川に逃げ込んで、魚に食われそうになり、それを見たジャックが言った台詞。正確な言い回しを思い出せない。

「昔は眼血走らせてバキバキの深夜3時だったけど今じゃ鬱々とした倦怠と甚だしい怒りを隠した深夜3時だ。」

誰が死んでも同じこと

誰が死んでも同じこと