ミステリーズ!」で連載されていた樋口有介の『少女の時間』、加筆訂正の入ったハードカバーを読み始める。表紙折り返しにある惹句が「柚木草平初登場作『彼女はたぶん魔法を使う』を思わせる、軽やかな展開がファン必読の長編ミステリ。」。はて、連載時に読んだ時にはそんな事を連想したかなあと考え込んで、遂に思い至った。言われてみれば、ラストシーンの鉢合わせ、そこは似てるかもしれない。樋口有介を初めて読んだのが『彼女はたぶん魔法を使う』の文庫本で、思い入れのある1冊だけれど、もう随分と読み返していなくて、内容はほとんど忘れている。その次に読んだのはおそらくデビュー作で、その次は『風少女』かな? そこから『八月の船』や『夏の口紅』にまで手を出したのは、いくらかインターバルを開けたような気がする。今となっては記憶も曖昧。

「社内の男性に
『ネイルとか金と時間の無駄やろ。何の為にそんなことすんの』
的にきかれたから
精神安定剤
て答えたら
『雷落ちた。超納得。』
て言って去って言った。
それが先月。
今では会うたび褒めてくれる。
誰にでもある精神安定剤
たぶん、彼にもあるのだと思う」