「ギャルゲー批評(論壇)みたいなものが一時期存在していた。知的な人を惹きつけ、しかし、本当に頭のいい人には利用されていたかもしれない。また、その自分語りと自己正当化のロジックを嘲笑されてもいた気がする。ただ、やはり、あの時期、そういうものが切実に必要とされていたんだよな、とも思う。」

「彼らには、ギャルゲーを通じてでしか語れないことがあったのだと思う。自分自身のこと、あるいは自己と世界の関わり方。そういうことを初めて言葉にし、自分自身に説明し、それを誰かと共有すること。そのきっかけとなったのが、彼らにとってのギャルゲーだったのかもしれない。」

もう少しある分は後日へ。

某所のランチで取り上げられていたのを見かけて、去年の5月に開店して以来というもの、横目で眺めるだけだった図書館併設のドトールコーヒーを利用してみる。好天の日差しで暑いほど。図書館は午後から一時的に開館という体裁だった。

某所より、樋口有介の『ピース』に寄せて。
「本書の特徴、
それは、日本のミステリー史上、「最も静かな告発シーン」に他ならない。
正統なミステリー作品であれば、最大のもり上がりでもある「お前が犯人だぁ!」のシーン。
それを、恐ろしく静かに、あまりに自然に描いている。
(下手すると、作品内で最も静かなシーンの一つかもしれない。)」
「犯人がいて、動機があって、殺人が起きる。
それはいつも『劇的』に描かれるし、殺人という行為そのものが『劇的』なものであるのは間違いない。
でも、
たしかに、「犯人を告発する」という行為は、劇的でなくたっていいのだ。
警察でもなく、加害者にも被害者にも寄っていない立場の人間にとって、
「犯人が誰か」ということは、何気ないことなのかもしれないのだ。

それに気づき、形にしたことこそ、本書の最大の特徴。
そして、売りにするならそこだったんじゃないだろうか。
「日本ミステリー史上、最も静かな告発」。
そんな帯の付いた小説なら、思わず手にとってしまうよ、僕なら。」
作者の著作の中では、何故だか、最も宣伝がなされた1冊で、ブックオフでもこのタイトルだけ見かける店もあった。文庫落ちした時の表紙の件など、好評に触れてこなかった本なので、もう一度読み返してみようかな。

「純文学は純文学を書くような奴が書いてるので純文学を書くような奴が抱くような悩みしか書かれていない。」