菊地秀行の『トワイライト・レディ』をパラパラと。連作短編集の最後の1編だけ読まず、他の3篇とあとがきを読むのが、お決まりのパターン。腰巻や折り込み広告の「乙女ちっく通信」を見ると、今月の新刊10冊のうち、半数の5人が男性作家だった。山浦弘靖小林弘利・波多野鷹・高山芳恒。昭和62年5月。試みに、ラノベの杜で今月の刊行数を調べてみると……2冊、か。この半年では、おおむね月に3冊のペースで、著者名を眺める限り全て女性作家かな? 集英社文庫から赤川次郎の吸血鬼シリーズと瀬川貴次の暗夜鬼譚シリーズが復刊しているものの、これはカウントできないだろう。そもそも、暗夜鬼譚シリーズはコバルト文庫ではなく、スーパーファンタジー文庫だった。菊地秀行コバルト文庫の『トワイライト・レディ』やスーパーファンタジー文庫の『グッバイ万智子』のような話を読んでみたいけれど、『トワイライト・レディ』のあとがきで「二度と書けない」と触れられたように、今となってはもう別の作家から探すべきなのだろう。

「澱んで歪んだ想いが知らず知らずのうちに世界を蝕むように、誰に届く事はなくとも祈りは無駄なものでは無いと信じたいよねえ。」