樋口有介『あなたの隣りにいる孤独』(文藝春秋)1500円+税
作者の長編で、死体の出てこない本は珍しいかな? 川越を舞台とした、戸籍の無い少女の一ヶ月の物語。もう一度か二度くらいはどんでん返しがあるかと身構えているうちに、優しく結末へと向かっていった。ほどほどに湿っぽく、ほどほどに軽やか。気分転換としてページをめくるには、これくらいがいいかもしれない。

BSプレミアム吉岡秀隆主演の『悪魔が来りて笛を吹く』が再放送。直前に、録画しておいた古谷一行主演の『悪霊島』を見ていたものだから、親の因果が子に報いとか利にさといとか、箇条書きマジックめいたあれこれが際立って感じられてしまった。『悪霊島』の2人めの犠牲者、超絶の調査能力と、あの有名な「鵺の鳴く夜は恐ろしい」というダイイング・メッセージのセンス、只者ではない。

咳が止まらず、漢方薬の麦門冬湯や五虎湯、顆粒を錠剤に変えてみたり、試してみたものの効果ははかばかしくない。

「なんかの小説に、「性格」なるものがあるのでなく、その人によって「陥りやすい状況」の連続があるだけだ…みたいな言葉を読んだ気がしますが、それも一理あるかもしれんですね。」
あなたの隣にいる孤独